ラバピエスの観光エリアは、環状線に囲まれたマドリード中心部の南東に位置します。隣のラ・ラティーナ地区(Barrio de La Latina)と同様に、不揃いな網目状の狭く急勾配な通りは、マドリードが1561年に王国の首都となった際に砦の外に広がった郊外地区としての中世の名残をとどめています。
ラバピエスは当時から現在に至るまで、主に庶民の居住地区であり続けてきました。そのためこの地区の建物は、中央にあるコララス(Corralas)と呼ばれる中庭を囲んで様々な高さの住宅が立つ、独特の外観を呈しています。トリブレテ通り(Calle Tribulete)とメソン・デ・パレデス通り(Calle de Mesón de Paredes)の合流点にその好例が見られます。
ラバピエスはマドリードの人々の生粋でサイネテ(庶民の風俗喜劇)風の伝統を示す優れた一例です。こうした伝統は、フランシスコ・アセンホ・バルビエリ(Francisco Asenjo Barbieri)作の「El barberillo de Lavapiés(ラバピエスの理髪師)」をはじめとする19世紀末から20世紀初めに書かれた数々のサルスエラ(Zarzuela:スペイン独特のオペレッタ)で有名になりました。典型的なマドリードの大衆遺産が、この地区に住むようになった様々な国からの移民がもたらす習慣や伝統と調和して共存し、ラバピエス地区を異なる文化の出会いの場としています。
テラスとタパスをつまむことも、この地区の大きな魅力です。ラバピエスの通りと広場はタパス・ルートの素晴らしい舞台となっています。タパスで特に有名なのは、バル El Económicoがあるアルグモサ通り(Calle Argumosa)や、ラバピエス広場(Plaza de Lavapiés)とその周辺の通りです。