マドリードが田舎に回帰

  • JAVIER S. MEDINA. © Álvaro López del Cerro
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Bloggin Madrid

2021年10月7日

かつて、天然繊維を用いて仕事をしていたアフリカハネガヤ細工職人や、かご細工職人の同業組合が存在しました。今日、昔ながらの仕事を現代も情熱を込めて続けているのは、新しい職人たちであり、中にはマドリードで代々続く一族の出身者も含まれています。文:シルビア・ロバ(Silvia Roba

昔のマドリードの地図は、住民が行っていた仕事をもとに描くことができます。中世には、市内各地に同業者の組合であるギルドが存在しました。

皮なめし職人、刃物職人…。そしてマヨール広場の近くの通りは、そこにアフリカハネガヤ細工職人(エスパルテロス)のギルドがあったため、エスパルテロス通り(Calle de Esparteros)という名前になっています。どうしてこの場所なのでしょう?ここにはフエンカラル村所有のブドウ畑がありました。ブドウ畑がなくなった後、その土地を、アフリカハネガヤを編んでマドリードの住宅の敷物を作っていたバレンシア出身者たちが使用するようになったのです。天然繊維は、かご細工職人ロープ製造職人、馬具類をで製造していた端綱製造職人も使用していました。現在、多くの新しい職人たちが、これらの素材を使って、まさに芸術作品と言える装飾品、服飾小物、生活道具を作っています。

JAVIER S. MEDINA

竹、柳の枝、籐…。これらは、エストレマドゥラ出身でマドリード在住の職人、修復者であるハビエル・サンチェス・メディナ(Javier Sánchez Medinaが、国際的な評価を得ている作品の制作に使用している素材です。

ここにある物は、市内のはやりのレストランの多くに飾られている花、太陽、星の形のから、彼が環境に優しいトロフィーと名づけた有名な動物の頭部に至るまで、すべて手作りです。彼の作品には、編みひもを組み、麻ひもで縫った雄牛、トナカイ、水牛、サイ、黒い羊などがあります。

ハビエルは制作過程だけでなく環境にも配慮し、完全に手作りで作業をしています。マラサーニャ(Malasaña)地区の特に落ち着いた場所にある彼の仕事場では、感情に訴える手仕事の喜びを人々が感じられるよう、講座も行っています。仕事場は、彼が新しい命を吹き込んだ昔ながらの工具であふれています。彼のファンには、ニューヨークのインテリアデザイナーであるネイト・バーカスや、マドリード滞在中に工房を見つけ、彼の芸術に心を奪われた女優のサラ・ジェシカ・パーカーがいます。


ETUREL

「私の目標は、幼い頃から身近な存在であった布で、村の生活、日なたで隣人たちと過ごす午後、田舎の優しい厳しさ、ゆったりとした時間を取り戻すことです」。こう述べるのは、エドゥアルド・ロドリゲス・トゥレル(Eduardo Rodríguez Turelエル・ラストロ(El Rastroの店舗と工房から、故郷(トレドのテンブレケ)、田舎の世界への回帰を追求しています。

彼が使用している原材料は、黄麻布(麻やジュートで作られるごわごわした厚い生地)、アルプハラ布(伝統的な縞模様が入った、モリスコ起源の非常に丈夫な生地)、キャンバス地(高温に耐える、丈夫で長持ちする生地)など、非常に耐久性に優れた、長い伝統を持つ天然の布地です。それらを用いて、バッグ、大かご、クッション、エプロン、袋、パン袋などを制作しています。手に取らずにはいられない製品が揃っています。


ESPARTERÍA JUAN SÁNCHEZ

この店を経営しているのは、職人一族の3代目。椅子の修理やブラインドの取り付けに加え、アフリカハネガヤで、カタツムリを入れるかご、うちわ、振り分け袋、瓶かごの制作も行っています。類まれな店で、フアン自身の言葉がその裏付けになっています。「アフリカハネガヤ細工職人の仕事は、大都市を中心に失われつつあります。アフリカハネガヤは扱いが非常に難しい素材で、続けるのは割に合わないと考える職人が少なくありません。そのため、21世紀にこの仕事を継続している職人は、ごくわずかなのです」。

同店ではアフリカハネガヤに加え、柳、ヒース、葦、竹、麻、籐、ガマ、リュウゼツランなども使用しています。その結果、かごやバッグなど、非常に特別な田舎風のアイテムが生まれています。その他、麦わら帽子、プラントハンガー、亜鉛のバケツ、カウベル、ステッキ、素焼きの水差し、ワイン用の革袋など、カントリーテイストの品々がたくさんあります。


CASA HERNANZ

19世紀中頃、職人のトリビオ・エルナンス(Toribio Hernanz)が、マヨール広場のすぐ近くに、郊外の農民向けにアルパルガタ(エスパドリーユ)と農具の店を開きました。1845年創業のこのロープ製造所は、現在アフリカハネガヤの農具の製造販売を行っていますが、こうした製品は『グラディエーター』などハリウッド映画の小道具にもなっています。

現在の主力製品は、労働者の足を守る伝統的な靴、アルパルガタです。アルパルガタはイヴ・サン=ローランによって、最もシックな小物に変身しました。世界中の顧客がアルパルガタを購入するため、トレド(Toledo)通りの歴史ある店舗まではるばるやって来ます。

取扱商品には、様々なロープ製品、籐のかご、装飾用ネット、ジュートとリュウゼツランの袋、メートル売りされている亜麻綿、黄麻布といった天然繊維の素朴な生地も含まれています。ホセ(José)の甥の子であるオーナーのヘスス(Jesús)が、息子たちとカウンターで接客をしています。彼の店では伝統が息づいているのが感じられます。「来店する人々が手に入れるのは、より貴重なもの、仕事に忠実な一族の知恵、本物を見つける満足感、手作り品のジュートとアフリカハネガヤの香りが漂う独特の雰囲気です」。 

  • このガイドは、マドリードの食堂、カフェ、レストランやマーケットを気楽に楽しむことを目的としています。

    マドリードのグルメ(PDF)
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  • Casa Mira. Foto: Álvaro López del Cerro
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